こんにちは
オペ室看護師のcharです。
前回インシデントレポートについてお話ししました。
その流れというわけではないですが、
オペ室のインシデントに〈ガス〉関連ものもよくあります。
オペ室のガスと言えば、
酸素、二酸化炭素、窒素などがあります。
みなさんはガスの性質や注意点を
知っていますか?
私はあまり知りません、、、
ですが勉強する機会があったので、
みなさんにも少しですがお伝えできたらなと思い、
今回は〈ガス〉についてお話していきます。
へ~そうなんだ!と
気を付けて取り扱おう!と
思ってもらえたらうれしいです
ガスと法律
医療現場で使用されるガスは法律で規制されています。
医療法・労働安全衛生法・消防法・高圧ガス保安法・医薬品医療機器等法(薬機法)です。
医療法ではガスに関わる安全管理(委員会の設置、職員研修)、
労働安全衛生法では労働災害や健康被害から労働者を守るために設備や製品の取り扱いを規制
消防法ではガスの保管について消防署への届け出、
高圧ガス保安法ではガスの製造、貯蔵、販売、移動などの取り扱い
薬機法では医薬品の品質、有効性、安全性の確保のための規制
が定められています。
薬機法で医薬品に該当するガスは、酸素・二酸化炭素・亜酸化窒素(笑気)・窒素などがあります。

ガスに関する院内研修が法律で決められているとは知りませんでした。
保管の仕方やその環境の基準も定められています。
オペ室でよく見るガス


酸素
酸素は生命維持に必須のガスです。
オペ室では周術期の呼吸管理として、人工呼吸器や患者さんのベッドに酸素ボンベが載ってますね。
身近にある酸素ですが、
他の物質が燃えるのを助ける支燃性があります。
この支燃性という性質があるため、酸素による医療事故が起こっています。
二酸化炭素
オペ室ではおもに、腹腔鏡手術の術野確保(気腹)として使われています。
二酸化炭素自体に毒性はありませんが、空気中の濃度が上昇すると健康被害が生じます。
通常では大気中に0.04%の二酸化炭素が含まれていて、
4%で耳鳴りや血圧上昇、10%で意識消失や呼吸困難が出現します。



オペ室では使用しないので雑談ですが、
ドライアイスにも注意が必要です。
葬儀のときに棺内の置かれたドライアイスが気化して、
棺の小窓を開けたときに二酸化炭素中毒になって
亡くなるという事故もあるそうです。
亜酸化窒素(笑気)
笑気は全身麻酔・鎮痛効果があります。
単体で全身麻酔に使用されることはなく、他の吸入麻酔薬の補助的な使用になります。
酸素と同じように支燃性があるので、取り扱いに注意が必要です。
私は経験ありませんが、笑気麻酔という使い方もあります。
笑気の鎮静・鎮痛の効果を利用したもので、意識は保たれます。
歯科や美容医療の治療や施術で使用されています。
恐怖心や痛みを取り除いて、リラックスして治療を受けられるそうです。
窒素
手術機器の駆動用ガスとして使用されます。
整形外科のパワーツールや眼科手術装置、機器を把持固定するときに出番があります。
窒素に毒性はありませんが、大量に漏洩すると酸欠になる危険性があります。
私は窒素ホースとパワーツールの接続を外すのが苦手です。
エア抜きしてても「ぼんっ」てなるのがなんとも、、、
ガスとインシデント
ガスに関する医療事故は身近に起こりうる可能性も高く、インシデントも発生しています。
酸素ボンベの残量切れ
オペ室から病室へ移動するときは、酸素マスクやカニュラを使用します。
移動中なので酸素ボンベから酸素を流すようになりますが、
その酸素ボンベの残量が少ないと途中で酸素切れになる危険性があります。
酸素ボンベの残量確認は必ず行いましょう。
「残量が〇〇L以下のボンベは、退室時に使用しない」
など院内ルールがあるなら、徹底しましょう。



残量確認でバルブを開けた後の閉め忘れにも注意しましょう!
使おうとしたらボンベが空になっている!なんてことに、、、



流量調整器を落として壊しちゃった。
ボンベとの接続が緩んでいないか確認しよう!
酸素と二酸化炭素ボンベの取違い
オペ室には酸素ボンベも二酸化炭素ボンベのどちらもあります。
患者さんのベッドの酸素の残量が減っているので交換しようと思い、
二酸化炭素ボンベを手に取り接続したという医療事故がありました。
ボンベを取るときには医薬品のラベルを必ず確認しましょう。
また酸素と二酸化炭素ボンベの置き場を変えるなどの対策が必要です。
また患者さんのベッドに乗っているから酸素だと思い込んではいませんか?
患者さんに装着する前に必ず酸素かどうか確認しましょう!
酸素と二酸化炭素を間違えやすい原因のひとつに、
緑色
という色も関係しています。
| 酸素 | 二酸化炭素 | |
|---|---|---|
| 高圧ガス保安法 (ボンベの色) | 黒 | 緑 |
| JIS:日本産業規格 (院内配管の色) | 緑 | だいだい色 |
図にあるように、緑色が一緒なんです。
色を決めた法が違うので仕方ないですが、みなさんも意識しておきましょう。
酸素ボンベからの発火
酸素は他の物を燃えやすくする支燃性があります。
なので近くに燃えるもの(可燃物)と火気(発火源)があると
激しく燃えてしまいます。
可燃物としては、流量調整器のパッキン・封印シール・ハンドクリームなどの油脂、ほこりがあります。
発火源としては、断熱圧縮熱(狭い空間に一気にガスが流れこむと、圧縮されて高温になる)があります。
ボンベの取り扱いの注意点
・可燃物が付着していないか
・バルブの開閉は静かに行う
・周囲に火気がないか
酸素ボンベのMRIへの吸着
酸素ボンベをMRI検査室へ持ち込むと、MRIの磁場により酸素ボンベ(金属)がMRIへ吸着します。
吸着する途中で患者や医療スタッフにぶつかって怪我をしたり、
MRIと酸素ボンベの間に挟まって亡くなるという事故もありました。
(2011年アメリカ、2021年韓国)
MRI検査室へ入るときは酸素ボンベに限らず、金属製のものは持ち込めません。
車いすやストレッチャーもMRI対応のものでないと吸着してしまいます。
ちなみに吸着したものを取り外すのに、数百万ほどかかるそうです、、、
酸素そのものが原因ではないですが、とても危険なので注意しましょう。
MRI検査時の注意点(医薬品医療機器総合機構PMDA医療安全情報)
まとめ
オペ室で使う様々なガスのこと、知っていましたか?
酸素は病棟でも身近ですが、取り扱いを間違えると大きな事故に繋がります。
性質や注意点をおさえて安全に使用しましょう!
ついでに
院内の災害マニュアルなども見ておくといいです。
院内配管からの酸素供給が止まったときの対応、
麻酔器の酸素切れへの対応、
火災のときの対応など。
酸素ボンベの場所はわかるけど、流量調整器はどこだろう?とか
酸素カニュラは酸素マスクはどこだろう?とか
物の定位置や在庫の場所も知っておくといざというとき安心です!



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